都 会 は い つ も
鋭い爪で傷つけられ
うつろな音で震えている弦のような私は
ホームに犇めく乾いた音色の
こぼれた雫で
つたなくつたなく奏でている
いまにも切れそうなかよわい弦を
スピードをおびたギャザースカートに包み
人の群れに安らぎのスカーフを結ぶと
駅は中世の社交所で
背中で会話をはじめだす
野原や酒場の顔でひっそりと
人に肩を傾けてくれるのは
駅が形のない椅子になるからか
私は知らないままに揺れている
時々聞こえる叫びは
都会にひっかかった足長蜂の
うなり声なのでしょうか
コーヒーをかきまわす頃
秋と夏の谷間になくしたような
片足の意識が戻ってくる
観客のいない小さな体内では
深く騒擾(そうじょう)して貝殻になった私の音色が
私の砂をはんでいる
その時都会は
耳のふちから深い湖に落ちて行った
