夏はたっぷりと光を含ませ
百日紅(さるすべり)の梢をかすめ
真っ赤に咲いたカンナの花に
燃え上がる夏の強さを描いています
いくつもの夏をかぞえた私も
また今年ひとつ歳をとりました
夏の時計は激しく進んでいくけれど
亡くなった父と同い年になった今
微かに
涼やかな風の通り道を見つけるたびに
私は安堵した気持ちになります
晩年身も心も病んでいた父の思いに
ふれてみようとすると
なぜか白紙の便箋を渡されたような
気持ちになってくるのです
それは語らなかった父の寂しさを
今になって感じるからでしょうか
蝉時雨が
私の心模様に染み込んでくるように
夏の命を歌っています
はぐれて浮かぶ夏雲
欅(けやき)の梢から送られてくる
涼やかな風
何処からか聞こえてくる子供たちの歓声
あるがままの景色が
父への思いを包んでくれます
私は父と同い年の夏を迎えました