
窓をたたく風の音に目覚めてしまった
すると瞼の裏の思い出が一人歩きだし
満天を走る流れ星を連れてきた
あれはどこからの帰りだったのか
それともどこかへ行く時であったのか
山と川に挟まれた暗闇の道を
闇の底を見ているような気持ちで
私は父の自転車の荷台に乗っていた
だんだん夜の景色に慣れてくると
私は風にになった思いになってきた
急に 父の自転車が傾いたとき
満天の星空を 金粉をふりまいたような輝きで
勢いよく星が落ちていった
流れ星を見ると
誰かが死ぬと知らされていた私は
無言で父の背中につかまり
そうでないことを黙って祈っていた
悲しみの輪郭を初めて知った時だった
今宵ひらりと時間が止まり
私の夜話は 夜半に咲く花々のようにあふれてくる
せきたてられない このひと時は
もしかしたら 老いていくことへの
流れ星がくれた命のくつろぎだろうか
明日の予報は見えないけれど
流れ星と父の姿は私を迎えてくれる
遠いはずの父と流れ星
深夜に交差する若さと老い
外の風は雨に変わり しめやかに降りだしたようだ