今日の庭
           

ホトトギスの花が咲き 

今日の庭は季節の小宇宙を作っている

太陽は人や花の影をも映し

私の独り言は秋に染まっていく


花々は今年の猛暑でも

生き伸びるために .

こらえながら

自らの下葉を枯らしていく

底知れない強さに

私は大きく息を吸った


家族を維持していくためには

いくつもの苦い季節を

私は飲みこんだこともあったが

同じ旋律を繰り返すように

庭の花はひたむきに咲くことを

無言のまま教えてくれた


花々は

どんな人の心にも

飛び交う蝶やトンボの群れにもやさしいけれど

死と再生を地面の底にからめて

欲張ることなく季節を彩っていく


義父が植えたもみじが

義母が好きだった 八房ヒノキが育ち

ふと見下ろすと季節外れの蝉の抜け殻が

愛しく木陰で揺れている 


絵本を開いたような今日の庭を

清めていくように秋風が吹いていく