君がすくすく育つように

  祈りをこめて植えたほうき桃が

  寒い陽ざしに背伸びして

  白い蕾たちが揺れています

  もう少し待って もう少し待ってと

  卒業する君への賛歌を準備して

  私の心をくすぐります


  遅々とやってくる春の匂いは

  邪気を払う桃の蕾をつつんでいます
 

  元気にそだった君に

  桃たちは ほほほと笑うのでしょう

  笑って 笑って花たちは

  君の誕生日に

  生まれるうれしさを山盛りにして

  手渡して咲くのでしょう


  いつか荒れた風や波が

  君の体を揺するでしょうが

  空の青さを心の秤(はかり)にして

  ほうき桃の 

  まっすぐ生きる音を聴いてほしいのです


  遠くの木枝で囀(さえ)ずるシジュウカラを横目に

  ほうき桃はよんよんと

  青空をめがけて揺れています


  13年目の君の春の眩しさは

  やさしい息吹となって

  70を越えた私の哀しさに届いています





                     
   
 

  ほうき桃

                                  高安ミツ子