花は梅雨に咲いて
天井が黴のはびこって

やがて雨がきりもなく降りだすと

掌の

首筋の

足首のすきまから

花はしめやかに燃えはじめる


雨のはさみが私の爪を切りだすと

帯状の吐息は深い泥酔の底で切り離れ

おびただしい私のしたたりは

胎児の記憶を忘れて眠る赤子の

吐息に落ちていく


いとしい祈りと

体に落ちてくる今日の重さに

去っていく男の投げる

侮蔑の姿を開いたまま

「郷愁は直線ではありませんわ」

幾度もつぶやいてみた

女が人馴れを嫌って捨てる噂話も

夏祭りの浴衣姿の夜に消えるのをみると

私は文字の太鼓をたたいては

埃のかぶったノートに花を結びつけていく

もうすぐ梅雨が終わりそうなので

私の花もきっと緑に呑まれてしまう

焼けた舗道の上で

狂気のの花を大空に投げつけた

あの日のように

子供を抱いたまま+

天に昇華できる一つの夏を

あるいは見つけ出せるかもしれないと

また曲がりくねった階段を降りていく